あたしは「かどたみたま」。縁切りが得意な門田稲荷神社の神様。こう見えても日本三大縁切り神社のひとつなのよ。すごいでしょ!「縁切り」ってなにをするかっていうとね、「悪いことから縁を切る」の。例えば、病気とか、事故、災難とか貧乏とかみんなを困らせる悪いことから守るのがあたしのお仕事なんだよ。シロ吉はうちの白狐(神様のお使い)で、あたしの仕事を手伝ってくれてるんだ。

うちは「下野國一社八幡宮」(しもつけのくにいっしゃはちまんぐう)の境内に居候させてもらっているんだ。だから八幡宮はうちの大家さんってところかしら。大家さんありがとう!ここは椿も咲いてるし大きな木もいっぱいあって静かな所よ。こんなに素敵な神社なのに、うちはいっつも貧乏!なんでこうなったかって?

理由はいっぱいあって話せば長くなるんだけど、うちには足利のあちこちから社を無くした白狐たちが集まっているの。縁切り神社としてみんないっぱいお願い事してくれるからそれなりに繁盛しているはずなのに、食いしん坊の白狐たちがいっぱいご飯を食べちゃうのよ! これが一番の原因よ!おかげで働いても働いてもいつも貧乏!

縁切りの神様が自分ちの貧乏から縁が切れないってひどい話だと思うわ!そういえば、今日もおりひめがおいなりさん持って遊びにくるっていってたなぁ。おりひめのおいなりさんって、とってもおいしくてあたし大好きなんだけど、うちの白狐どもに全部とられないようにしなくっちゃ!